ファシリテート能力をブラッシュアップしなければならないと感じています。
真鍋です。
国際協力ってどんな仕事だっけ?と改めて考えてみるために、標記の本を読み返してみました。
1. 概要
本書は国際協力の舞台で活躍する/していた女性12名の活動記である。彼女らの立場はJICAや国際公務員、専門家、NGOなど様々である。12名が12通りの、国際協力に興味を持ったきっかけ、国際協力の世界での喜びや苦悩、国際協力を引退後の今、について語っている。例えば「家庭や日本での生活を犠牲にしてまで、自分は本当にずっと途上国のために働きたいのか」、といった悩みが素直に書かれており、国際協力の舞台で働くというのがどういうことなのかをイメージするには最適の本だと思う。どの著者の文章も非常に読みやすいのは、エッセイ仕立てだからというのもあるだろうが、それ以上に彼女らの文章能力の高さのおかげであろう。著者の何人かが、国際機関では説得力のある論理的な文書作成能力が求められると述べているが、その経験がこの本にも活かされているのだと思う。
2. ポイント
それぞれの章を読んでいて、幾つかの共通点に気づいた。
一つ目に、国際協力、特に国際機関でのキャリアには常に先が見えず、かなりの部分が偶然に左右されること。しかし、その可能性は人脈の形成次第で大きくできること。
二つ目に、彼女らは留学経験もあり、エリートに見える(実際、優秀ではあると思う)が、その中身は普通の一人の女性であり、普通のママであること。華々しいキャリアに見えるが、その背景には多くの苦悩があること。
三つ目に、この仕事を続けられるかどうかは、結局は「国際協力への情熱」次第であること。
3. 思ったこと
本書を読むと、国際協力の道に入ってしまえば、試行錯誤はするものの、「なんとかなるかもしれない」という自信が沸いてくる。しかし、忘れてはならないのは、彼女らは「なんとかなった」方々であり、その裏には「なんともならなかった」方々もいるということである。国連職員の頭の中にあるのは、自身のキャリアアップのことばかりである、という批判を時々耳にする。しかし、他人のことの前に自分を守るのは当然のことだと思う。まずは自分が人の役に立てる環境にいない限り、人の役には立てないからだ。援助機関は途上国に援助をするための機関であって、当然ながら、途上国支援を志望する先進国の若者のための機関ではない。しかし、そういう若者が少しでも安心して活動できる社会を目指したい。