真鍋です。
コンテストの二日目に山本敏晴さんに国際開発分野でのキャリアについてご講演して頂く予定です。
山本さんは医師として国際的なNGOで世界を飛び回った後、NPO「宇宙船地球号」を立ち上げ、国際協力のプロである「国際協力師」を育てるための啓蒙活動に力を入れていらっしゃいます。
山本さんは数多くの本を出版されており、私もいくつか拝読しました。
今回はその中でもidpcにマッチした内容の本を一冊ご紹介したいと思います。
皆様も講演をお聞きする前に一度著書を読まれておくと、講演の理解もより深いものになるかもしれませんね。
1. 概要
医師であり写真家でもある著者が、国際協力のプロを目指す人向けに書いた本。国際協力にはどのような組織が関わっており、どのような仕事があるのか、優しく解説してある。プロジェクトマネジメントや医療、環境問題から企業のCSRまで幅広く取り扱っている。国際協力分野でのキャリアの積み方にここまで焦点を当てた本は他にないのでないだろうか。働くことを目指す人向け難解な用語や数式などは一切出てこず、中高生でも読めるくらい平易な言葉で書かれていて大変わかりやすい。
2. ポイント
・国際協力プロジェクトを動かす仕事には、3つの立場が必要であるという。
1考える人-プロジェクトを計画する人。大学や研究所、国際機関やNGOの理事会、JICAなど。
2つなぐ人-計画を滑らかに運営するために働く裏方。国際機関の職員(いわゆる国際公務員など)、外務省、JICA、JBIC、JETRO、NGOの職員・ボランティアなど。国際協力では、このつなぐ仕事がもっとも多い。
3やる人-実際に現場に行く人。JICA専門家、開発コンサル、一部の外交官、NGOなど。
・本格的な国際協力を行う場合、統計学は必須である。プロジェクトの目標設定や実施後の効果測定に欠かせないからである。自身が統計学の専門家である必要はないが、専門家の話す内容が理解できる程度には勉強しておく必要がある。
・現場を体験したい人には青年海外協力隊を薦める。様々な問題もあるが、それを上回るほど、経済面でもキャリア形成の面でもメリットが大きいからである。
・最近、国際協力をやるために大学院で開発経済学を勉強する人が多いが、ほとんどの人がこの道に進めため、もはやそれだけでは「売り」にならないという。
3. 思ったこと
・国際協力の道は一見キャリアパスが不透明に思えるが、この本を読むと、意外とシンプルなものであることがわかってくる。必要なものは英語力と修士号、二年間の海外勤務経験。そしてこれらを習得するためには、青年海外協力隊や国連ボランティアなどいくつかの選択肢があるが、それほど迷うことではない。
・協力隊から戻っても国際協力を続ける人は一割未満であるという。一度国際協力をやってみて満足してしまう人が多いというのが理由の一つとしてあるらしい。実際に働き出す前に、それを一生の仕事とする、と決めることは無理だと思う。憧れと現実がマッチするとは限らない。そういう意味でも国際協力を目指す人には協力隊という制度は、利用してみる価値が高いのではないだろうか。
国際協力師になるために